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夢のみとりz

見取り図を書いたり、看取ったり……黙って見とれ?はいはい。。。

家族の肖像2 Nobody Knows but U-know.

チョン・ユンホ氏。

ユノ氏はいつも東方神起のリーダーだった。「ユンジェ」カップルの夫。「家族神起」の父親役。グループでの動画を見ていると彼がどんなにいつもメンバー全員に対して優しく、皆を気にかけているかがわかる。年長のリーダーと言っても最年少のチャンミン氏と2才差なのだから、それほど精神的成熟度が他メンバーと違ったということはないと思うが、彼を見ていると若いころから、その役割を自らのアイデンティティの中に大きく受けいれ、振舞って来た、という気がする。たとえ、それが与えられたもので、たまたま自分が年長で有っただけだとしても、それがまるで本来の彼の一部でもあるかのように、彼は「リーダー」で有った。

ユノ氏は光州の出身。父親は会社経営、母親は主婦。妹がひとりと、韓国では非常に層が薄いと言われている中流家庭の出身でもある。彼の家庭環境をめぐっては分裂騒動の時、かなり誇張されて「法律関係」「上流家庭」「エリート」「裕福」などと伝わった部分も多かった。それは「汚い3人」との比較において彼の清廉潔白なイメージを作り上げるのに一役買ったわけだが、後になって、トーク番組で通貨危機の際、父親は新聞配達、母親は工場に働きに出ていた、と彼は明かし、いつも「裕福で何不自由なく育ったお坊っちゃん」では無かった事実も明らかになった。ひとにぎりの中流層。その中に留まる事は、それほど易しいことでもない現実。気を許せば、下流に転落することなど、珍しくない、韓国経済の状況。中流が安定を意味しない社会。

それでも、芸能界入に強硬に反対したという、父、祖父の存在を考えれば、JYJ3人の家庭に比べ保守的な傾向は有る。

彼の家庭のもう一つのファクターはクリスチャンであるということ。それも彼自身が相当敬虔なクリスチャンであるということだ。ボランティアやチャリティ活動も積極的に行う彼の精神活動の基底部分を大きく信仰が占めていることは想像に難くない。韓国では高校生くらいまではあまり宗教に熱心ではないらしいが、大学でチャリティやバイブルスタディに目覚めることが多いと聞く。彼の場合はどうだっただろうか。資料がないのでこれは分からない。

この分裂劇をイデオロギーの対立、と見る場合(それはかなりの確率で当たっていると思っているのだが。なにせ彼らもオトコであって、こんなふうに説得されることを女子は望まないかもしれないけれど、やっぱりそういう見方はできるんじゃないか?)大まかにユノ氏、チャンミン氏を保守的傾向、全体主義、右寄り傾向、そしてジュンス氏、ユチョン氏、ジェジュン氏を個人主義、左寄りな革新傾向と分けることが可能だと思うのだが、それにしては、ユノ氏は完全に保守傾向に当てはまらないところが結構あるのだ。

まず光州という場所は、光州事件の性質からもうかがえるように、反権力志向、とても左寄りな思想の根付いている場所である。確か、C-jesのベク・チャンジュ氏も光州出身だと聞いた。(なんだか、面白い。二人の故郷が同じとは。)父親に芸能界入りを反対されたユノ氏は家を飛び出して、アルバイトでアパート暮らしをはじめ、ソウル駅で野宿することもいとわなかったという。そんな反抗ぶりは、光州気質を垣間見せるし、ごく若い頃からダンスに傾倒していたこと、ちょっと不良っぽい服装、髪型だったのもそのような傾向に見える。また、彼の好きな歌手ということで上がっている、イム・ジェボム氏であるが、彼の半生や行動、音楽自体韓国音楽界における反骨精神である。その彼を好きな歌手として上げるユノ氏。


外側から見えない分裂が始まった時がいつだったのかは私たちには分からない。だが、それは結構早い時点で始まっていたようにも思う。日本という異文化の中に放り込まれた彼らは、色々な意味で周囲から影響を受けたと思うからだが、私はそれが、誘惑とか、芸能界が汚いとか一言で片付けられる類のものではないと思っている。まず、アーティストの寿命を一つをみても、日本は長い。もちろん人気がなければ忘れられるだけだがSMAPが40代突入し、まだ現役なのだから韓国の比ではない。そしてそれを受容するオーディエンスが居る。アイドルが非常に短命な韓国の状況や、自社の先例を見て彼らが独立を願ったとしても不思議はないと思うのだ。(その向かった先が実質は日本側エージェントにあったとしても)そして現在までに明らかになっている事実からは少なくとも、3人は二人から、また「東方神起」から離れようとした訳では無く、離れようとした対象はSM社だったと考えられる。ただし、そこで二人側から発声されたのはSM社を離れて「東方神起」はできない、というSM社側の論理だった。

ユノ氏は何を思ってSM社に残る決意をしたのか?そこで持ち出されるのが、「道理」や「信義」といった言葉たちなのだが、60才になっても踊り続けたいといった彼が、SM社の短命なアイドルでいることに同意する理由が「道理」だけなのか。野宿してでもレッスンに通い、それほどに父に反抗した彼が、この分裂で、社の上層部におとなしく従った理由が私にはまだ腑に落ちていない。

考えられるとすれば、彼が内側から会社のシステムを変えようと思っていた可能性だが、もしかすると、ここに追加要因として彼の中で、3人と一緒になれば可能になった日本中心の活動にたいして不安要因があったものだろうか?もしかすると彼は彼自身が父の役割を引き受けるうちに、韓国的家父長制のなかに彼自身の役割ごと取り込まれて行ったのか。

ユノ氏の父性。

家族神起のダイナミズムで考えてみる。

ユチョン氏には明らかに一時期ユノ氏にぞっこん?な時期が有り、追い掛け回してさえいたように見える。ユノ氏の中に実生活では失ってしまった父を見ていたのだろうか。2U期のそれはファザコン確定行為のように感じられる。ユノ氏のほうも手の掛かる「長男」を楽しんでいた様子が窺える。(そして分裂後から今は絶賛マザコン期のようだが。)

ジュンス氏はユノ氏をいつも立てながら、しかし乗り越えなければいけない壁として扱っている節がある。「ユノはダンスが一番上手い」と彼はいつも言う。ユノ氏のほうも、「ジュンスは歌が上手い」と返す。普通の父子関係でも男同士はライバルのようだが、彼らの場合は実力が伯仲しているため、もっとその雰囲気は濃厚なのだが、それが家族というバランスのなかでは非常にうまく機能していたし、五人のパフォーマンスにはスリリングな魅力を加えていたと思う。

末っ子のチャンミン氏には、一生懸命いつも気配りしてやるユノ氏の姿が見える。以前は内向的な性格からかたまにひとりポツンとしている彼にさっと手を差しのべるのが「リーダー」のユノ氏であったが、現在の彼はリーダーを封印したかのようで、どちらかというとチャンミン氏がリードしている様にも見える。ただ、彼の態度にはやはり父的な暖かさは残っている。もちろん可愛がっているし、大人になった彼を信頼しているとも言う。もうすぐ旅立つ我が子を目を細めて見る父のような。

ジェジュン氏は唯一彼が父として接しなくてよかったメンバーだった。同い年の彼がユノ氏にとっては対等な間柄でもあったことだろうし、彼をとても大事にしているのが動画から伝わってくる。お互いがお互いを補い合うような「ぶつからない」魅力のアーティスト同士ゆえ、赤と青、火と水などと自分たちでも表しているが、彼らの関係はパートナーとして非常にバランスのとれたものだった。だからこそ、多くのファンが「ユンジェ」に納得するのだろう。ジェジュン氏の前では、彼の父性は消え失せ、やんちゃな同い年に戻っているように動画を見るたびに思うのだ。

もし、ユノ氏が、自らの「父性」に絡めとられた結果、リーダーとしてSM社に残り、3人を社に戻そうと当初考えていたのであれば、それはもう無理だと2009年の紅白では気づいていたのだろう。もう既に去ってしまった恋人を懐かしむ「Stand by U」。切ない日本語の歌。ユノ氏は一生懸命に歌っていた。多くのファンはその動画を悲しくてもう見られない、という。

彼は「東方神起」を誰かが守らねばならなかったと言った。
リーダーの彼が「東方神起」を守るのは当然の帰結に違いない。ただ「守る」という行為は、同時に不安を自覚する行為でもあったと思うのだ。保守、というのは外敵を自覚する行為にほかならないからである。彼はその時のインタビューで、他のアイドルグループ達の人気がどんどん高まり、自分たちの名前が忘れられていく不安を同時に訴えていた。

「東方神起」というコンセプトは消えることが無い。しかしそれを体現する肉体がなくては、忘れられていく。そのことをユノ氏は理解したのだろう。そして肉体としての「東方神起」は復活を果たした。

昨年1月にカムバックを遂げたとき、彼はSMPの権化となって還ってきた。K-POPの頂点に君臨する王の帰還。かなり衝撃的な楽曲にはJYJ側ファンで批判を浴びせるものも居たようだが、そのK-POPとしての、SMPとしてのパフォーマンスのクオリティの高さは半端ない、有無を言わせないものだったと思う。彼は本当に努力したのだ。しかし、そのあたりのまだ、リーダーをどこかに残した悲壮感漂う雰囲気は、最近のユノ氏からはふっつりと消えてしまった。

リーダーの消えた「東方神起」。
ユノ氏は「王」では有りながら、リーダーではもはやない。
そしてこの「王」というアイコンは、SMヴァーチャル国家の紋章でもある。

息子たちは羽ばたく準備が着々と整っている。

ユノ氏は東方神起の進化をこれからどのように見せてくれるのだろうか。


動画はイム・ジェボム氏の「君のために」をお借りしています。本人ヴァージョン。「告解」もいいですね。。。