夢のみとりz

見取り図を書いたり、看取ったり……黙って見とれ?はいはい。。。

レディガガから考えるK-POP北米展開の壁

レディ・ガガが、あの奇抜なファッション、体の露出、強烈な言動、ダンス、メッセージ色の高い歌、それだけで売れているかと言ったらそうではないかもしれません、という話です。まあ、私は特に「ガガ様」ファンじゃないんですが、彼女の事は面白いな、と思って見ています。

まず、彼女けっこうなお嬢様(小金持ちイタリア系)で、カソリックの女子校に通ってたのは有名な話。厳しい家庭に反抗して、家を飛び出し、ストリッパーとして稼ぎながら友人と二人の音楽ユニットをやっていた。(その後、この友人は自殺。この女の子の「スタイル」を盗んで音楽シーンに登場したとしてその家族に訴えられるというスキャンダルもありました。)なにはともあれ、たったの26才で、音盤売上も、興行成績もダントツトップのポップアイコンになってしまった。

なぜか?

歌やダンス、音楽、作詞のクオリティが有る。これはもう、あることがまずは前提のアメリカ音楽界です。

前提をクリアして最初の項目。まず目を引く、奇抜な衣装ときわどいダンス。でもそういうものを売りにする人たちはたくさん居ます。彼女の歌。内省的な歌詞。女の子の共感を呼ぶ、メッセージ性にぐっとくる日本ファンも多いとききます。そういう派手な外見と、内面のギャップが良い?一面ではそうかもしれませんが、私の考えは違います。彼女の良さは「ギャップの無さ」にあると思うのです。あの、信じられない衣装センス。彼女は家でもそうだといいます。たいていのミュージシャンが、ジーンズをはいてTシャツを着ているような普通の日常とキラキラのステージの非日常を行き来しているのですが。よく、日本ではハレとケという表現を用いますが、彼女にはその境目がほとんどない。ハレもケもなく、ガガだけがある、そんな感じですかね。


2番目に考えたいことは、彼女の宗教観。彼女はカソリックの家庭で育って、私立のカソリックスクールに通っていました。よく、おばあちゃん、おじいちゃんの話が彼女から出てきますが、彼女の衣装に文句をつけたり、心配したりととても、かわいいんですよね。彼女の曲のなかにはやはり同じような出自のマドンナがそうだったように、聖書の影響が顕著ですけど、最近も「Judas」で自分がマグダラのマリアに扮していましたね。カソリックというのはWASP(白人、アングロサクソン系、プロテスタント)がマジョリティである米国においてはマイノリティではあるのですが、他の宗派、宗教に比べたら人口は多い。もちろんその「Judas」にしてもかなりスキャンダラスな内容なので、カソリック教会から反発食らってはいます。でも、どのような形にせよ、彼女の考え方に宗教の影はありますし、彼女自身をれを認めてもいます。カソリックはそのうえ、形式主義と言われていて、つまり日本の冠婚葬祭宗教に近い形態を取るため(プロテスタントは信心が肝要)、カソリック文化に属するそれほど信心深くない若者達、つまり「その中に属しながらも反抗する」層にとって彼女は、代弁者だったりするわけで、反抗しながらも、大きな意味では宗教を味方につけていると解釈することもできます。


3番目。これが多分一番重要です。彼女のセクシュアリティにたいする深い理解。彼女のサポート母体にはLGBT文化が背景に有ります。(LGBT- Lesbian, Gay、Bi-Sexual, Trans-Gender)近年のアメリカ芸能界ではLGBT文化を敵に回すと、うまく成功することができません。例えば、ミスカリフォルニアが、ゲイに対しての偏見が入った発言によりクラウン剥奪、ということも記憶に新しいですし、ケイティ・ペリーも「それってすごくゲイ」発言で、LGBTを敵に回してしまいました。それなりの人気はある彼女ですが、パーソナリティの薄さを露呈した形ですので、この発言によるネガティブイメージを覆すのは容易ではないと思います。ガガの場合は、ストリッパーとして働いていた過去もあれば、性にたいする忌憚のない発言。どんなセクシュアリティーに対しても偏見が見られず、あの若さながら、成熟したパーソナリティ、それがガガが、ガガたる部分なのじゃないかと私は思います。

K-POPを北米市場に持ってきたとき、まず多分受け手が考えるのが、「これって大人の音楽なのか?」ということだと思います。アメリカには「ティーン音楽市場」と言うものが存在するからです。Disney社のアイドルが典型ですが、8-12歳程度を対象としたティーンロック、ポップ等の市場で、K-POPの得意とするボーイバンド、ガールグループは普通はこの、ティーン音楽市場に分類されています。もちろんそうでないお色気系、女性グループとかもあるにはありますが、ボーイバンド、ガールグループを大人が楽しんだりするような状況にはないわけです。(Disney社のアイドル達は基本的にDisposable(使い捨て)と、周囲の米人に聞いても同様の見解です。)

大人には大人のエンターテインメントが求められるし、子供にであれば、例えばガガ様が放つ、強烈な「性のメッセージ」などのR18項目が極力排除された、クリーンな内容の「ティーンポップ」が提供されないとならない。アメリカは自由なようでいて、ものすごくそういうところは「分けて」ますからね。K-POPていうのが、またそこいらが中途半端なしろものな訳ですね。だからか、多分おとな観客狙いの東方神起の、LGBTを狙ったガチゲイビジュアル路線、ってのも有ったんだと思います。(Perez Hiltonには受けていたので、ある意味成功ですね。なんたって彼はLGBTのご意見番ですから。) 

それはいいけど、やはり全体的にK-POPは音楽的なオリジナリティが足りない。先日のマツコ記事でもマツコ様が言ってましたけど、アメリカのブラックミュージックやらR&Bと白人音楽混ぜ合わせてエレクトロ風味をつけました、な感じの音楽主流。多分、甘味が強すぎるんだと思います。北米を本気で狙うのであれば、ですが、K-POPの中でもこども向けと大人向けをはっきりと分けなきゃダメですね。これは必須なんじゃないかな〜。こども向けにはこれ以上ないくらいのクオリティですから、それはそれでいいとして、大人向けには音楽的創造性がもっとないとならないし、アーティストが作られたものでない、「人間」である必要があると思います。(今のSM社や多くの韓国芸能社に欠けているのが多分それですね。)

たかがアメリカ、されどアメリカ…ってやつですかねえ。。。

ふう。

ガガ様よりも私が今一番好きな女性アーティスト Lykke Li をどうぞ。
彼女の世界中をさまようStrangerなライフスタイルからの、こういう音楽。有りだと思います。
そして、こんなオンナになりたかったなあ。。。という。。。www