夢のみとりz

見取り図を書いたり、看取ったり……黙って見とれ?はいはい。。。

現象としての東方神起−愛と戦争?

訴訟、分裂、1年間の東方神起としての活動休止を経ての東方神起のカムバック。その間、待っていたファンたち。分裂の時点では、ほぼ全てのファンが5人揃ってのカムバックを望んでいたはずです。しかし、カムバックしたのは二人だけの東方神起でした。

ユ・ヨンジン氏による楽曲の素晴らしい芸術性、二人のより男らしく、大人に成長したイメージのプロデュースは非常に優れていたと思います。しかしアーティスト本人による「ディスではなく、男女の愛を謳ったもの」という説明をもってしても、その戦闘イメージは拭えず、その凄絶な歌詞からも、(これは日本語版と比較して、韓国語バージョンにはより強い表現が使われている事も考えに含めなければいけないと思います。)この時、年若い韓国ファンのうけた衝撃はかなりのものだったのではないか?と、今更ながらに推測しています。特に、「オルペン」「カップルファン」にとっては。。。

「このカムバック曲がショックで、二人の東方神起から離れた」
「お前は死んだとか“ジェジュンに対して”ひどすぎないか?」

これらは以前に読んだことのある韓国ファンの当時の言説の一部です。ですがこういった言説を以前読んだときには「たかが楽曲に対する反応としては過敏過ぎるのでは?」またファンがカップル妄想にとらわれすぎている、幼稚な反応という感じがしたのも事実です。

しかし、その理由に筋道を付けるならば、更にその前の企画に遡って見なければならない。ファンはそういう反応を返すなりの幻想を企画社から与えられていた訳ですね。絶大な人気を誇った「ユンジェ」「2U」または「チャンジェ」。そして「家族神起」「兄弟神起」という幻想。これらはアイドルを個人として推すだけでは得る事の難しい、「箱推し」による人気の拡大作用を伴っている。例えば個人としてはXXが好きだけれど、カップルとしては○○と△△、という具合に、ファンを惹きつける事ができれば、その分消費行動にそれが反映され、グループ全体としての集客力が格段に上がる。個性を売るだけでなく、その関係性を売る事は、アイドルグループにはまずは必須の戦略であり、5人時の東方神起はその最も成功した1例であるとも言えます。

もちろんそこには企画だけではなく、彼らが自然生成的に作り上げた関係性のケミストリーがとても美しく、貴重なものとしてファンの目に映り込み、またファンダムも「5人でなければ東方神起でない」というふうに呼応することによってより強固なファンとの結びつきも生まれて行った。注意しておきたいのは、やはり、この「集合体として推す」という文化は、日本市場の方に、韓国市場よりも強く現れていることです。デフォルトといってもいい。文化の差もあるでしょうが、個人ファンが多くすぐにファン同士が争いやすいという市場の習性を緩和するためにも、韓国でもカップル戦略、箱推し戦略は取られていたのかもしれません。

しかし、二人でのカムバックが決定されるに及んでは、その美しかった5人グループのイメージは二人の東方神起が正当である為には是非とも打ち砕かねばならず、ホミン以外のカップル幻想は排除しなければならなかったものでしょうか?『WhyーKYHD』の私自身の印象を言えば、「裏切った妻に対する三行半」(つまりユンジェを夫婦にカウントした前提)のような印象に取れますし、『BeforeUGo』の歌詞の内容はチャンジェエピソード、2Uエピソードの入り混じる別れの曲のようでもあります。二曲をフィーチャーした16分のロングバージョンのPVは友情、家族、裏切りと言ったテーマでしたね。

韓国のファン掲示板などで、「傷を開いて膿を出す」という表現がよく使われていましたが、傷が癒えるためには、更なる外科的な処置、つまり「刃」あるいは「戦い」が必要という非常に韓国的な心性が端的に現れている言葉だと思います。

ファンダムは5集カムバックの前1年半近く、確かに膿んだ傷のように混乱し、ファン同士の競り合いと衝突、「陰謀説」に揺らされていたと考えられます。そう言う意味ではこのカムバックが確かに大きな「外科手術」であったのかもしれません。ユノ氏本人もカムバック曲について「これを聞いてスッキリする方もあるかもしれない」コメントと言うようなしていましたね。しかし、もちろん確かにそれで溜飲を下げたファンがあったと同時に、離れてしまったファンも相当数いたのではないか?

今さらのように聞こえてくる韓国での二人の東方神起の人気の陰り。

端的に言ってこれらの一連の作品、それに続いて、テレビ番組での二人の3人に対しての発言や、カップルを上書きする発言等(ホミン夫婦発言ETC)、戦争が前提の韓国サイドの戦略によって、説得されるよりは、ひどく感情を傷つけられてしまった韓国ファンが、日本ファンが考えるより多かったのかもしれないという事。それがカップルファンや、オルペンがかなり減少してしまった現在の状態から私が察している事です。

(次回日本サイドについて考えてみます。)