夢のみとりz

見取り図を書いたり、看取ったり……黙って見とれ?はいはい。。。

脱アイドル:其の二。去らば、いとしきSMAP!

SMAPが解散します。

ravensk.hatenablog.com

結局、このとき書いた矢野利裕さんのラジオでの発言通り*1解散することになってしまいました。誤解のないように言っておきますが、矢野さんはこのとき、SMAPにとっとと解散してほしい、という意味あいで言ったのではなく、一にも二にも、彼らを愛する者としてSMAPはSMAPでいてほしい、なのに事務所があのような演出をSMAPにあてがうのはいかがなものか?という警告を込めて発した言葉、と私は理解しました。矢野さんのSMAP本を読みたいのですが、海外ゆえKindleになるのを待つとして、こちらに最新のウェブ記事も貼らせていただきます。))

realsound.jp

ともあれ半年後の今、SMAPは現実に解散に至ることになり、メンバー各自からのコメントも出されました。このコメントについても彼らの真意をなんとかそこから斟酌しようと解釈合戦がネットで繰り広げられているようです。そこには全く加担する気はないですが。*2

思えば、あの謝罪劇に納得いかないファン(茶の間含む。国民的アイドルゆえ。)は多かったものの、でも確かにその謝罪によって彼らの解散は「非現実」の様相を帯びたのではないか?ということは考えてみる必要があります。

そう、永遠に解散せず、おじいさんになってもアイドルを続ける「SMAP」のイメージをきっと多くの人が脳裏に一瞬は浮かべたことがあるに違いない。あのとき首相までが「解散すべきではないグループ」としていた事、「絶対解散してはいけないグループ」「SMAPおじいさん言説」が巷間とても広がった。しかし、それがなぜかという理由は往々にしてきっちり説明されていなかった気がします。なぜかしらねど、万難を排してグループでいるべき、、、whyうぇ???勝手に決めないでほしいのよね??

そこには彼らはやはり事務所の作ったブランドであり、彼らを動かしているのは芸能事務所であり、メディアであって彼ら自身ではない、という当たり前に日本の観客が受け入れてきた「アイドル」不文律があるのではないか。言ってはいけない。SMAPは必要かどうかなんて?

 

で、そもそもアイドルは必要、でしょうか?

 

実際必要とされて商品になったわけではないのに、原発でも自動車でも電気ですらそうですが、いったん市場に供給された商品がいつのまにか「必要」とされ恒久的に販路に上がるように、彼らは「永遠化」していった。

ただその「永遠」の流通に判を押すのが「事務所」であり、その事務所が抱き込んでいるメディア、ということをこの時点で悟らされた人もたくさんいる事でしょう。この状態は、考えてみればいかな才能の保持者、美しい容姿であってもメディア露出、市場への流通のきっかけ、チャネルがなければ、ファンが姿を見ることすらもかなわない「商品」という身も蓋も無い現実を指しています。

そして存在を担保する主体は芸能社とメディアの結託した芸能・媒体コングロマリット。そのなかでもジャニーズ程大きな力を持った事務所もない。であるから、享受する側はただ手をこまねいて彼らを崇め奉り、賽銭おさめてればいいというメッセージとも、ジャニーズ事務所のとってきた態度はうけとれる。はっきりいうならアイドルを享受する消費者への侮辱ですし、その根源には芸能そのもの、および芸能を生業とする人々への蔑みがあるのではないか。しかし誰も大きな声を上げない。*3

この辺りは、さっきおみかけした松谷創一郎さんの記事も触れていらっしゃいましたね。

bylines.news.yahoo.co.jp

テレビが独自取材を避けるというのはようするにジャニーズ批判につながる立場を避ける、ということですね。松谷さんはその情報ソースのロンダリングサンプルとしてサンケイ、夕刊フジ、フジテレビをぐるぐる回る情報についてわかりやすく解説しています。*4

 

こんな「永遠」は要らない。

だから、私は矢野さんの言葉に共鳴しました。どこかでこのままつつがなく続いてくれることも期待しながら、でも自由なSMAPを願った。それが幻想であったとしても、ほかならぬ彼ら自身からSMAPは自由だという幻想を私たちはもらったわけですから。 

ジャニーズあってのSMAP、それくらいは私たちも知っている。SMとエイベックスあっての東方神起、と同じくらいに。しかし、5人はジャニーズにこそ残りはしたものの、SMAPとしては解散する道を選んだ。

思いました。実はこれは画期的なことではないのか?これによって、SMAPは実にギリギリではあるものの彼ら自身を奪い返したのではないか?いや彼らは会社のものでありながらも自己決定権を捨てているわけではない。そのことをやっと明らかに見せてくれることができた機会が、くしくも解散であった、というだけ。自分たちが決めたグループの始まりではなかった、しかし事務所の仕掛けた「永遠化」のサイクルを断ち切ったのは自分たちで。報道された仲たがいがたとえ事実であったとしても、いえ、今回のメンバーコメントが事実に近ければ近いほど、過去に仲良く、楽し気な姿にも嘘はない、と私には思えるし、現在のメンバーの葛藤を責める気にはとうていならない。ありていに言って、そうそう仕事仲間が「仲良し」ということのほうが不自然。まあ不自然なほど仲良しな人々も居ますがねw。むしろ、正直に葛藤をさらけ出しての誰も得をしない(正直とんでもない損失になる予定の)解散というかたちでしか自由の証明は難しかったかもしれません。

私たちの自由なSMAPは、解散によってもう一人のメンバー森君もつれてファンのもとに羽搏いた、そんな気がします。その意味で、決して彼らは終わらない。彼らは自分たち自身で「ポストSMAP」の道を歩き始めたとも言えるでしょう。

彼ら5人が今後もずっとジャニーズに残り続けるのかどうかはわからないですが、今は自由な姿を脳裏にのこしてくれたことを五人に感謝するばかりです。好きですよ、SMAP。決して「必要」ではないけれど、いてくれて楽しかった。時に癒され、ときめき、時には力になった。私には『夢がMORIMORI』あたりからの決して短からぬ時間でした。きっと多くの人が似たことを思っていることと感じます。本当にありがとう。

 

追伸。いつも読んでいただいて恐縮です。人間そうそうオリジナルな考えなど持てないものです。しかし、plagiarismはなるたけ避けたいと考えます。そのために注釈やリファレンスを入れます。出典、引用を記します。私の書いたものも同様に扱ってほしいと切望しておりますので、よろしくお願い申し上げますね?

 

*1:「そんなもの(2016年年初、15年末の解散騒動報道を受けてのフジテレビでの生放送謝罪劇を指す)見せられるくらいならいっそ解散してしまえ」という言葉。2016年2月8((ここに脚注を書きます日放送、TBSラジオ 荻上チキSessionー22にて。

*2:SMAPが絆を維持できずに崩壊したことを東方神起の分裂になぞらえるトンペンは多く、ほっつき歩いて読むと、SMAPの仲の良かったころの動画を見てもウソのように感じるとか?今更何を言ってるんだろう的なものも散見されます。「舞台上のアイドルとしての完璧に作られた彼ら」が好きと言っておきながら、そっち?プライベートでは仲良くなくていいんじゃ?演出されたファンタジーが好きなの?嫌いなの?どっち?よくわからないわ。いや、どこのメンバーも仲良かった時もあるし、喧嘩した時もあるんじゃないですか?人間ですもの。。。うんこもセックスも泥酔も交通違反も暴力も醜い仲たがいもするんですよ(たぶんw)なんならトイレフェチかもしれないですしね???みちならぬ間違いもおかす。別にそれを推奨しているわけでは全くないですけどね。

言っておきますが、他称フェミニストのあたくしは個人間の自由意志に基づく売春、セックスワークは肯定しております。でも人身売買を伴う組織的売買春は否定の立場。そして男性の性欲が制御不能で、レイプや性暴力につながるから性処理に性風俗でのあてがいが必要、とか(社内恋愛推奨も軽く含みますね。配給なのか?という点で。)、そういった見解は全く持ち合わせておりません。悪しからず。

でもって、こういったドロドロを見せられて「萎え」を感じたか、偶像が嘘くさいなどと言ってる女には、現実の女が自分とのセックスで「潮吹かない」から「ちゃんとした女じゃない」「嘘つき」だって言ってる男に似たものを感じます。

まさしくね、天皇陛下が人間なのとおんなじに、残念ながら人間なんですわ、彼らも。そして、コントロールフリークにとっては陛下もSMAPも人間以下のようですよ。人権がみとめられてない。中森明夫さんも言ってたけど、天皇ってアイドルだよね。「象徴」ってそういう意味じゃん。このところ今上陛下を政治的だの、左翼だから首を挿げ替えろとか言ってる極右系言論とかみてますけど。だけど、なんでこうもトンペンやJYJのペンに愛国奥様が多いのかしら?旭日旗が踊ってたり、桜チャンネル貼ってあったり。でもって文化に政治は無用とかいうけど、無用の対象は実際左よりの言論だけじゃない?どこのネトウヨかと時々感慨を覚えるほど、ほんと多いんですよね。

*3:まったく、ファンに取ってアイドルは人質のようなものですが、しかしこれがSMエンタやシジェス当たりになるとわりと簡単に扱きおろし、批判するファンの声が大きくなるのは、韓国への差別意識のなせる業、でしょうか。

*4:ちなみに、近年スポーツ紙の範疇を飛び越えて気を吐く「日刊ゲンダイ」には情報元明示、事務所とメリー副社長名指しのこの記事が載ってましたけど。SMAP解散の決め手になったメリー喜多川氏“親バカ”の一撃 | 日刊ゲンダイDIGITAL