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夢のみとりz

見取り図を書いたり、看取ったり……黙って見とれ?はいはい。。。

『プロメテウス』2 −ネタバレ。夢見るアンドロイド

本日公開ですね。

前回どこまで書いたっけ?

科学者たちが調査現場について遺跡めいた場所を発見したところまででしたね?
この遺跡のような場所で発見したミイラのような物体の頭部と思しきものをチームは持ち帰ります。その生命体をエリザベスたちは「エンジニア」と仮称しています。そして随行していたアンドロイドのデイヴィッドはそこあった黒っぽい液体をこっそりと持ち帰る。

そしてこの探索の時二人の科学者(生物学者)が現場に取り残されるのですが、彼らを襲うのがその黒い水溜りに居た生命体。これが一見すると蛇のようなのですがその頭部には女性器のような形状の開口部が有るのです。メレディスは科学者に生命体へのコンタクトを禁じていたのですが、彼はその形状に油断したのか、つい女の子にでも話すように話しかけます。蛇のメタファーですが、「エイリアン」では男性器のシンボルと言われてましたね。シガニー・ウィーバーはこれに犯され、孕み、そして復讐する。しかし、今回は女性器でも男性器でもないものが、科学者の口から暴力的に入り込み殺してしまいます。

この映画で私がすごく面白いと思ったのがアンドロイドのデイヴィッドの役回りです。彼はまずエリザベスの夢に入り込み、幼い日の彼女の父とのやり取りから彼女がなぜ生命の起源、創造主を探求しようとするのかを探ろうとします。そして持ち帰った黒い液体をエリザベスの恋人のチャーリー博士の飲み物に混入します。彼にどんなことが起こるか観察したかったのです。人間に作られた命のはずのアンドロイドが夢をみる。その夢は電気羊などではない?そして人間を試そうとすらする。マイケル・ファスベンダーの演技がまた良いんです。彼を見るためにこの映画に行ったっていいくらいだ〜〜ww

で、この科学者チームの中のチャーリーとエリザベスは交際関係にあり、デイヴィッドに黒い液体を飲まされていることも知らない二人はその夜セックスをします。

次の日から体調が悪くなるチャーリー。明らかに何かにとりつかれている。自分を殺せと叫ぶチャーリーに仲間はためらいますが、管理者のメレディスは彼を火炎銃で焼き殺してしまいます。そしてエリザベスは、自分が妊娠していることに気づく。?で書いたように彼女は子供のできない体です。妊娠する筈のない体に宿った生命。彼女はチャーリーに取り付いた生命体の子と確信。あっという間に膨らんでいく腹部。

エリザベスはメレディスが持っていた手術用機械を自ら操作して、エイリアンを自分の腹部を切って取り出してしまいます。これがまた象徴的です。アメリカでの中絶に対する反感は日本人の想像を超えます。キリスト教、とくに保守系のプロテスタントは中絶に反対、逆に左派は場合によって合法にという政策ですが、中絶する医師を銃殺までしようとする過激な思想もあります。ある意味「精子」を何よりも優先させようとする、男性型社会の象徴。それがここで描かれるのは自ら堕胎を行う「女」です。そして、それはレイプですらなく、愛する男とのセックスによっての妊娠。ですがその前段として、アンドロイドのデイヴィッドの行なった「実験」がある事もみのがせません。

デイヴィッドの好奇心はつまり、人間の生命創造に対する好奇心、生命科学のメタファーでしょうか?

そして生命創造の謎に並々ならぬ執着を見せるのが、メレディスの父、ウェイランド・コーポレーション会長、ピーター。彼はこっそり船に乗船しており、「エンジニア」に会って、自分の生命を長らえたいと熱望している。しかし、冷凍がとけた「エンジニア」は彼らが夢見たような、慈愛に満ちた存在などではなく、ピーターはいきなり惨殺されます。父の死を確認し、ひっそりと安堵のため息を漏らすのはメレディス。いぎたなく生命を永らえようとする父という存在は彼女にとっては「支配者」でしかない。男性型社会を生きる多くの「娘」にとって、有る意味で共感を呼ぶ部分でもあるのではないか?そんな気がしました。

そしてこの「エンジニア」という存在。エイリアンが女性器のようでもあり、男性器のようにも表現されているのに対し、彼らは人型、男性的なフォル厶で非常に暴力的な存在に描かれている。彼らは実験者ではないのかという疑問を持つエリザベスと船長。エンジニアという言葉は人類にとってテクノロジーの発達が、つまり戦争の歴史とほぼ同質であるゆえ非常にこれも象徴的であると言えます。ついでにギリシャ神話のプロメテウスは人類に火を与えたとされていますね。

戦いに巻き込まれ、愛する人も失い、地球に帰れない。自分の行動を「間違っていた」と思うエリザベス。。ひとり残されたエリザベスは、身体をバラバラに吹き飛ばされながら、まだ頭部が残り、しゃべり続けるデイヴィッドを拾い上げます。彼の頭部を携え、「エンジニア」の宇宙船に乗りこみ、再度起源を目指すエリザベス。

なぜ、信じるの?

Because I chose to believe......

失楽園にも似た旅立ち。しかしここでのイヴはアダムの肋骨では有りません。意思をもった「女」はアンドロイドの残骸を道連れに、遺跡の星を去ります。

この映画、宗教色が強い、と感じる方もいるかもしれません。ですがここで本質的に述べられているのは、「何」を信じるかということはもはや問題ではないのでは、ということだと思いました。宗教はどうしても科学と対立してしまいます。しかしそれは「信仰」という精神作用を妨げない。つまり、エリザベスは父のクロスのペンダントを持っています。しかし彼女にとってそれが何を示すかではなく、多分持っていること自体がとても重要なのではないか。

「王は君臨し、そして死ぬ。それは避けられない」
しかし、宗教も科学もどちらも永遠の命を得ようもがくもの。もがく支配者(男性)の下で復讐を企てる娘。人間の好奇心と夢に巣食うアンドロイド。やっぱりリドリー・スコットええわあああああ。。。みなさん、ちょっとくらいのグロに耐えられるんだったらぜひ見てくださいね♪


予告編? お借りしております

ついでに言っとくと男性社会のメタファーみたいなエンジニアはエイリアンに口腔から犯され、体の中からバリバリと皮膚を破ってエイリアンが現れますよ〜。