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夢のみとりz

見取り図を書いたり、看取ったり……黙って見とれ?はいはい。。。

ニホンゴ、エスノセントリズムそしてTohoshinki

先日、シムさんで記事を締めたあと、またまたすごいことが世間(トンペン界)的に起こっていました。某エイベックスCEO松浦勝人さんのインスタグラムに、シム・チャンミンさんが現れてしまった事件です。

news.livedoor.com

「ケリョンデの奇跡」*1とはまた違った意味で「ありえない」出来事になりましたよね、トンペンさん的には。ケリョンデもそうでしたが、こちらも2009年年末以来の出来事。この間ほぼ6年です。2011年半ばには日本市場復帰を果たしていた二人ですから、頻々と来日していた4年半の間面会しようと思えばできなかったこともないはず。なので、その間面談がなかったらしい、という事にまずかなりびっくりしましたが、どんどん増えていく怒りのコメ群を見ながら、考えました。

追記:今は消されて見られないのかわからないのですが、再始動後にハワイで会ってるとツイートされてたんですね?松浦社長。で、その時も散々炎上したと。その時は3人側からの批判が凄かったらしいとも。とすると、このキャプション、なぜまたしても誤解を招きそうな表現なのかなあって考えちゃいましたね〜。。。2011年のツイートも「言葉を交わした」と明らかに判定できるのはユノだけみたいですし。

コメントは、二人の東方神起ファンからの過去の彼の二人に対する行い*2への遡った批判と、それを今また持ち出したことによるファン感情の再度の傷つきへの配慮の薄さなどを指摘するものが多数。しかし、その合間にこれもなかなか少なくない「5人ファンです」と名乗るコメントが交錯し、さらにはその5人ファンと二人の東方神起ファンがコメント欄で争うというカオスとなってしまっている。相変わらずトンペンの「愛と戦争」パワーは有効です。

しかし、松浦さんが今回のインスタグラムのツーショット写真のキャプションで書かれている「あれ以来」が、2009年末の事と仮定するなら、前回の炎上の際(明けて2010年、5人の東方神起の活動無期限休止が伝えられた当時)とその後に続いたJYJの活動とその停止、3人のエージェント会社社長との訴訟トラブルの際には「3人」側のファンの存在が確かに感じられたのですが、今回の「炎上」を見ていると3人、JYJファンの「影」はほぼ感じられなくなっている、ということに改めて気づかされました。「2」と「5」しかない。これって、東方神起の分裂を知っていて、ファンが2と3に分かれた二つの側について争った、というところあたりの一般的な知識を持っている方にはどうにもわかりにくいことかもしれません。

今回が、二人の東方神起側であるシムさんの事だから、という部分を差し引いてみても、以前ならもめ事が勃発した場合、「3」という箱(グループ)のファンの立場が明瞭にわかる程度にはファンダムの存在感が有ったと思うのですが。。。

 

実際、二人の東方神起と3人のJYJは、対置可能なグループではないというのが私の持論ですが、ペンが非常に個人ファン化したとはいえ、箱として保つことにファンをなんとか同意させることが可能な東方神起に比べ、JYJは箱として「プロデュース」されて誕生したものでは無いゆえか、ファンのグループからの心情的離脱に歯止めをかける事が難しい。それがどんどん表れてきている気がします。*3

何より、松浦さんのつけたキャプションから推察するに、今回のちょっとKY気味なポスティングはもちろんエイベックスのレーベルから売り出しが決まったEXOのアピールもあるでしょう。EXOについては次の記事で書こうと思います。トンペンの動向に刺激されるEXOペンというのも少なからずいるんじゃないかと思いますし。

 

ここで自分にとっては見落とししたくないことが一つ。

東方神起の日本ヴァージョン。言語からファッション、ふるまい方までローカライゼーションを施され、「東方神起はJ-Pop」とまでファンに言わしめた過日の5人のTohoshinki。それは彼松浦さんを頂点とするAVEXとそのスタッフが間違いなくプロデュースし、プロモートし、売り出したものであるということ。

先日こちらでiTunesを眺めていて気づいたのですが、2011年以降の東方神起は少なくとも米国では純然たる韓国アーティストとして扱われているようです。2010年のベストアルバムを最後に、楽曲の販売元はSMエンターテインメント一本に切り替わっており、2011年以降の東方神起の日本語曲は世界最大の音楽市場である米国、その第一位の音源サイトiTunesで入手することができない状態なんですね。販売権、また一時期言われていた東方神起の「レンタル権」が現在どのようになっているのかは知りえないところですが、実際のこのような販売の様態から掴めるのは、2010年には東方神起は(日本市場への)現地化のフェーズをほぼ終了し、以降はいわゆる「韓流グローバリゼーション」の一角になったのではないかということです。もちろんそのグローバリゼーションには日本市場も含まれるのですが、Tohoshinkiが市場の内側からビジネスをしていたのに比べ東方神起は外側からのアプローチ、と言えるのではないでしょうか。*4

2011年、2012年とK-POPが必死に北米市場のドアをたたいていたころに書いた記事を以下に挙げますが、このころ、そしてそれ以前は殊更ということになるのでしょうが、K-POPが、北米市場に入り込むのにオタクや漫画、アニメ等というJ-カルチャーが形成していたプラットフォームが必要で、それゆえか、ほぼ初めてアメリカの音楽誌がK-POPを取り上げたとき、当然のように取り上げられた東方神起も、楽曲は『どうして君を好きになってしまったんだろう』という日本語曲が選ばれています。

ravensk.hatenablog.com

ravensk.hatenablog.com

奇しくも東方神起の分裂と再起動の時期はアジアのポップ音楽の主たる担い手が日本から韓国におおきくシフトしたはざまであった、という事。もちろん日本市場もBoAや東方神起による開拓が功を奏して受け入れ態勢ができていたということはあるでしょう。ファンは日本語で接してもらえることを基準視しながらも韓国語を学習し始めていましたし、韓国語にたいするアレルギー反応的なものはなくなりつつありましたよね。韓流ビジネスの要点として、Proximity とDisparityの併用ということがよく言われてますが、日本語の使用によって高められた近似性から、韓国語の使用にも逆にスムーズさをもたらしながら異文化の注入を試みる方法は2012年からの政治的な日韓関係の冷え込みなどがなかったら*5日本でももっとうまくいっていた事でしょう。ただし文化的近似性すなわち

Cultural Proximityによるアプローチは常にエスノセントリズムと隣り合わせてしまうことはよく指摘されています。*6

 

かたや米国市場では、漫画やアニメ等のオタク文化により「アジア系(ほぼ日本系コンテンツ)ポップカルチャー」に目覚めつつあった層がK-POPもそれと同質なものと捉えるProximityの段階を経て、今度は韓国文化が「もっと新しい・もっと刺激的」と捉えられるDisparityの段階に入りました。以前からある英語使用や、日本よりも欧米型に近い「セクシーさ」なども加え、文化の共有によって新しい近似性をさらに構築していくといった間断ない繰り返しのアプローチで韓流はミレニアル市場に食い込んで来ているといったところです。最近日本に進出したNetFlixアメリカ版にも韓流ドラマが一時期と比較にならないほど大量に網羅されていますし、K-Pop専門のラジオ局もできてサテライトで全米どのエリアでも聴取可能となっています。

www.siriusxm.com

「もはや戦後ではない」、ではありませんが、ニホンゴで歌わなくても、ニホンゴでしゃべらなくても、英語ですらなくても、大丈夫なのかもしれない。生活の中に違和感をそれほど感じさせずに入り込んでくるK-POP、そういう時代が来つつあります。私自身のエスノセントリズムというものも確かに心情的にはもちろん有って、5人がJ-POPのまま継続して世界に売り出されていたらなあ、と内心ほぞを噛んでいたりします。言語というのは大事です。その文化の核ですし。わがままとは知りつつも「5人の夢」にはそういう根っこも少なからずあり、消えた「3」を思いつつ、「2」と「5」という数字がどう変化していくのかを今後もしばらく追いかけたい次第です。

 

*1:2015年10月2日。ユノさんとジェジュンさんが「奇跡的」にも公式的に、再会を果たした一件です。ツイッターでは大変な祭りとなりました。

*2:いわゆる「チャンミン握手拒否事件」が有名ですね。当時所属するSMエンターテインメントに対し訴訟の渦中にあった3人側を当初支持していた松浦さん。握手することを拒んだチャンミンの態度などを松浦さんがツイッターでネガティブにつぶやき、当時もかなり炎上したようです。

*3:また、反語的な言い方になりますが、アイドルビジネスは「供給有っての需要」であることが如実に表れている気がします。市場にないものは買いようがないですからね。

*4:ここで、思い出すのはJYJとエイベックスの裁判資料の中で、JYJの活動を日本国内のみに限定し、JYJは海外で活動しない制限が契約に加えられていたことです。なぜこのような条件が加わったのか、当時は不思議でしたが現在の「東方神起」販売の形態をみればわりと納得できるのではないかと思います。裁判記録は閲覧制限がかかっていないのであれば東京高裁にて閲覧可能かと思われます。

*5:愛国クラスタとかなりかぶっている高齢層が主要ターゲットだったということももちろんありありなのですが。

*6: Yoo, JW, S Jo, and J Jung. "The effect of Television Viewing, Cultural Proximity and Ethnocentrism on Country Image."  Social Behavior and Personality. 42 no.1(2014): 89-96.